「ところで、なぜ、曲9段や武宮正樹本因坊と打つことになったのですか」と町会長。

「碁会所の先生に5段で打つように言われたので、試しにプロの9段の人と打ってみようと思ったからです。」

「4段のプロの棋士とは、毎月打っているので、9段の人と打ってみたかったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。日本棋院に電話すると、市ヶ谷にある日本棋院に行けば、いつでも9段の棋士と打てるということだったので、早速、日本棋院に行ってみました。」

「日本棋院で9段の人と打ちたいと言ったら、曲9段が出てきたのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。たまたま、新聞に詰碁の問題を出している曲9段にあたってしまったのです。」

「曲9段と何目で打ったのですか」と町会長。

「『プロの4段の方に5目で打ってもらっています』と言ったら、『では5目で』ということになりました。」

「それで、結果は、どうなったのですか」と町会長。

「打ち進めるうちに、僕が盤面4分の1ぐらいの大きさの大模様を張り、その中に、曲9段が打ち込んできました。」

「それで、どうなったのですか」と町会長。

「曲9段の石を取らなければ、負けるのが分かっていたので、取りに行きました。」

「9段の石を取りに行ったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。取りに行ったら、どうしのぐのだろうと考えながら打ったのですが、僕の読みと大きく違うような手を打たなかったので、大石を取ることになりました。」

「9段の大石を取ってしまったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そうしたら、曲9段は、『記念に棋譜を書いてやろう』と言って、最初から並べ直しながら、棋譜を書き始めました。」

「曲9段は5目で負けるとは思っていなかったのですね」と町会長。

「4段の人に5目置いていると言ったので、負けるとは思っていなかったのだと思います。棋譜を書き終わったとき、『君の碁は分かった』と一言ありました。」

「棋譜を書いたのは、曲9段が負けた原因を分析したかったということですか」と町会長。

「多分、負けた原因ではなく、どう打てば大石を取られずにすんだのか確認したかったのだと思います。」

「詰碁の先生ですから、大石を取られたらまずいですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『君の碁は分かった』と言われたとき、『徳川家康と同じだ』と思いましたね。」

「『徳川家康と同じだ』と言いますと?」と町会長。

2020/6/19

<ムクドリ38>
307問の問題点を指摘した時、『作者の意図は、白6からオイオトシを狙おうとすると、黒7でアタリになってオイオトシにならないということを見せたかったのでしょう』という間違いを正当化するような回答だったので、決定的な間違いを指摘したいという思いが強くなって行った。コウの取り番の間違いを指摘したという実績はあるものの、『疑問を感じた問題が2問あった』というのは、単なる言葉上の意地だ。なんとか、サポート係がぎゃふんと思うような間違いを見つけられないかと努力する日々が続いた。長老スズメの気持ちが分かるような日々だった。

そして4月26日に間違いを見つけた。『これだった』と思い出した。3年前、問題335を今回と同じ手順で打って、『X』になってしまったのだ。しかし、どう考えても白は死んでいる。3年前はその後どうしたか覚えていないが、今回は問題335が想定している正解を考えて打ち直した。正解だった。150問は連続正解していたので、最初から詰碁をやり直すことはしなかった。

そして、その場で、SDI-WORKSの『お問い合わせ』から次のような質問を送った。

『先日、詰碁のご指導を頂いた渡辺です。大変勉強になりました。
早速ですが、問題335に疑問があります。左隅で黒1白2の交換の後、黒3で一線をハイ、白4を黒3の4路左に打った時、黒5を黒3から桂馬の位置に打つと、白6が黒5の一路上に表示されて『X』が表示されますが、黒7を白6の一路左に打ち、白8をその一路下に打った時、黒9を白8の一路右斜め下に打てば、白は死んでいるのではないでしょうか。』<続く>

2023/6/2